行かない
ある年の正月。
三社詣りに行こうと家族で出かけた。
市内でも御利益があると言われる神社にむかう。
割と近所だったし正月と言っても三が日はすぎていて駐車場は空いていた。
車を停めたのだが、エンストのようにエンジンを切る前にとまった。
父がエンストか?とか言いながらキーを回すがエンジンがかからない。
「とりあえず参るのはまた後日にして先に車修理行くわ」
と、父が言った瞬間エンジンがかかった。
両親は懲りずに翌年もその神社に向かったが、結局途中でなんかあったそうで詣れなかったそうで、我が家ではその神社に行かない事にした。
顔
美術の先生の話。
先生が大学生の時に美展に出す作品を寝るのも惜しいぐらいの勢いで制作していたそう。
何とか作品が出来上がって美展に出す前に皆で品評会をした時、めちゃくちゃ気持ち悪がられたらしい。
そんな変なの書いてないのだけれどと絵をみてみると絵のあちこちに様々な顔が浮かび上がっていた。
慌てて削ったり、上から塗り込めたりしたがまた時間が経つと浮き上がってくる。
先生は仕方なくそのまま提出した。
先生の絵は賞をとった。
その絵の写真をみせてもらった。
無数の顔があった。
渡れない
聞いた話1
数学の先生の弟は見える人で生活に不自由なところがあった。
それは線路を渡る時、渡れる線路と渡れない線路があり、大回りりなくてはいけない時だそうだ。
聞いた話2
うちの近所の線路で人身事故があった。
母親の知り合いはちょうどその場に居合わせたそうだ。
遮断機が下りてたっていた親子が中に入るのを見て止めなきゃと思ったけれど、その親子、特に母親の目を見たら体が動かなくなったらしい。
ものすごい覚悟した目だった。
といい、それ以来その踏切は渡れないそう。
合致
娘が夢を見た。
近所に女の子が立ってる。幽霊みたいで顔ははっきりしなくて。
私が
その子って、白っぽいワンピースに長い髪で近所の立て看板の所にいるでしょ?
娘はびっくりした顔で
なんでわかったの?
居るから
と私が言った。
元気だろうか
これは全然怖くない。箸休め的なほっこり話。
電話がかかってきた。
おじいちゃん
「私、東京のアイロンプレス機を販売しておりました○○です。その後うちのプレス機はいかがでしょうか?」
私
「あの、すみません。どうやらこの番号を使用されていた方は電話番号を変えられたようで…今は全然違う者が使用してまして…」
おじいちゃん
「それは失礼致しました。最近寒くなってまいりましたねぇ、お体には気をつけて下さい。失礼致しました」
私
「はい。ありがとうございます。そちらもご自愛くださいませ」
知り合いか…
この電話は翌年もかかってきた。
深夜の電話
固定電話の番号って決める時、いくつかある候補の中から選べるのですが、私が選んだ番号がやばかった。
夜中1時過ぎ電話がなった。
そんな時間の電話はうちでは珍しく、そしてやな事が頭をよぎってしまう。訃報かなにか命に関わることか。
電話をとった夫が数秒後怒鳴り声をあげて電話を切った。
間違い電話にいきなりキレるぐらいの短気さは珍しくは無い。
「なに?間違い電話?」
「みたい。訳わかんない事言ってたから切った。○○先生の電話ですかって」
「なんじゃそりゃ。」
その日はそれで終わった。が、次の日も夜中に電話が。
今度は私が出ることにした。
「はい」
「あ、○○先生いらっしゃいますか?私、数年前に印鑑を作ってもらった○○です。大変な事が起こってしまって…」
「すいません、今この番号はうちが使用していて○○さんの電話ではないんです。」
「えっ?そう…なんですか…○○先生の電話番号ご存知ないですか?印鑑を作っていて、その時見てもらって…」
「すいませんわかりませんし、電話番号変えられたと思いますよ」
「…そうでしたか…」
と、電話は切れた。
そして二度とかかってこなかった。